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問いを起点に!部署・世代を超えた対話を生む場づくり勘所

Tags: コミュニケーション活性化, 対話, 問いかけ, 場づくり, ワークショップ

組織を硬直化させる「一方的な情報伝達」の壁

多くの企業において、組織内のコミュニケーションは「必要な情報の伝達」に終始しがちです。特に、世代や部署が異なると、共通の前提や価値観が少なくなり、円滑な対話が生まれにくくなることがあります。この状況は、単に情報共有が滞るだけでなく、以下のような組織課題を引き起こします。

こうした課題の根源にあるのは、一方的な情報伝達や形式的な報連相に留まり、「相互の理解を深め、共に考え、創造する」といった質の高い対話が不足している点です。では、どのようにすれば、組織内に「対話」が生まれ、活発なコミュニケーションと協働を促進できるのでしょうか。

「問い」が対話と場づくりにもたらす力

質の高い対話を生み出す鍵の一つが「問い」の存在です。単なる事実確認や指示ではなく、相手の思考や感情を引き出し、共に探求するような「良い問い」は、以下のような効果を発揮します。

  1. 思考の深化と多様な視点の引き出し: 問いは、聞き手に対して「考えること」を促します。「なぜそう思うのか?」「他にどんな可能性があるか?」といった問いは、表面的な情報だけでなく、その背景にある思考や経験を引き出し、多様な視点やアイデアを顕在化させます。
  2. 心理的安全性の醸成: 問いかけは、相手への関心や尊重を示す行為です。「あなたの意見を聞きたい」というメッセージは、話し手が安心して発言できる土壌を作ります。特に「正解がない」問いや「共に考えたい」という姿勢は、失敗を恐れずに多様な意見を出し合える心理的安全性を高めます。
  3. 共通理解と共感の深化: 対話を通じて、互いの考え方や価値観に触れることで、表面的な合意だけでなく、深いレベルでの相互理解や共感が生まれます。これにより、部署間の立場や世代間の価値観の違いを乗り越える一助となります。
  4. 自律的な行動の促進: 問いかけによって自ら考え、気づきを得たメンバーは、与えられた指示をこなすだけでなく、主体的に課題解決や新しい価値創造に取り組むようになります。

このように、「問い」は単なるコミュニケーションスキルではなく、組織内の思考を活性化し、関係性を構築し、心理的安全性を高めるための強力なツールとなります。そして、この「問い」を意図的に活用することで、「対話が生まれる場」をデザインすることが可能になります。

「問い」を起点とした具体的な場づくりのアプローチ

では、「問い」を起点とした対話の場をどのように作ることができるでしょうか。いくつか具体的なアプローチをご紹介します。

1. ワークショップ形式での探求

特定の組織課題やプロジェクトテーマに対し、示唆に富む「問い」を設定し、数人ずつのグループで対話やアイデア発想を行うワークショップ形式です。

2. カジュアルな対話の仕掛け

日常的なコミュニケーションの中に、自然な対話と「問い」を取り入れる仕組みです。

3. オンラインツールを活用した「問い」の共有と応答

社内SNSやチャットツールの特定のチャンネルを、「問い」とそれに対する応答の場として活用します。

導入・運用のための勘所

「問い」を起点とした対話の場づくりを成功させるためには、以下の点に留意することが重要です。

まとめ:問いから生まれる組織の活力

組織の硬直化やコミュニケーション不足は、情報伝達は行われていても、「互いに問いかけ、深く聴き合い、共に考える」という対話が不足しているサインかもしれません。「問い」を意図的に組織内の様々なコミュニケーションに取り入れ、対話が自然に生まれる「場」をデザインすることで、世代や部署を超えた多様な視点やアイデアが引き出され、組織の活性化や新しい価値創造に繋がります。

すぐに試せるカジュアルな問いかけから、テーマを設定したワークショップまで、自社の課題や状況に合わせて「問い」を起点とした場づくりを検討されてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、組織のコミュニケーションと風土を大きく変える可能性を秘めています。